行政院農業員会(日本の農水省に相当)特有生物研究保育センターはこのほど、同林務局と2年間かけてまとめた、台湾の陸域で生息する全ての脊椎動物、617種の絶滅危機の度合いの評価、並びにそのレッドリストを公表した。陸域哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類の5つに分類される。617種のうち15種は絶滅寸前(CR)と認定された。絶滅の恐れがある野生生物は105種で、全体の17%近くとなっている。
この国家レベルの評価では初めて国際自然保護連合(IUCN)によるレッドリストの作成方法を全面的に採用、同時に地域的な評価手続きも取り入れた。このため評価方法は世界の潮流に合致するのみならず、しっかりとした科学的根拠を有するものとなっている。
今回、評価対象となった野生生物は陸域での哺乳類が80種、鳥類316種、陸域での爬虫類が89種、両生類が37種、そして淡水魚類が95種。研究の結果、脊椎動物の約16.9%(105種)が台湾で「絶滅の恐れがある」野生生物と認定された。そのうち絶滅寸前(CR)は15種、絶滅危惧種(EN)は36種、危急種(VU)は54種で、内訳は哺乳類が12種、鳥類が52種、爬虫類が5種、両生類が11種、そして淡水魚類が25種。
絶滅寸前(CR)は15種、評価対象全体の2.4%で、陸域哺乳類のタイワンオオコウモリとユーラシアカワウソ、鳥類のアカハジロ、コウライキジ、ヒメミフウズラ、ズグロカモメ、ヘラシギ、ヒガシシナアジサシ、陸域爬虫類のクサガメ、両生類のヒョウガサンショウウオ、ヤエヤマハラブチガエル、淡水魚類のニホンウナギと「渓流細鯽(Aphyocypris amnis)」、スゴモロコ属の「巴氏銀鮈(Squalidus banarescui)」、ヨシノボリの蘭嶼における固有種である「蘭嶼吻鰕虎(Rhinogobius lanyuensis)」。
行政院農業委員会特有生物研究保育センターはこれらの生物が絶滅に瀕する原因について、ニホンウナギなどは人による乱獲、タイワンオオコウモリやクサガメなどは生息地や分布範囲の縮小、コウライキジなどは外来種との交配と関係があると指摘している。また、一部の野生生物は元々成熟した個体数が少ないこと、あるいは分布の範囲が狭いことなどから、確認されている脅威、もしくは未確認の脅威で個体数がさらに減りやすい。アカハジロやヒメミフウズラ、ヒョウガサンショウウオや「巴氏銀鮈」などがこれにあたる。
特有生物研究保育センターでは、人の行動が生み出す影響を改善するのは比較的容易なはずだとして、こうした情報の発表、並びに情報が引用されることで、人々の野生生物保護の意識が高まり、保護への行動を促せるよう期待した。